ザビエル・モロー 対 アレクサンダー・ドゥギン 「ロシアだけが反キリストを阻止できる!」 (深層地政学)
アレクサンドル・ドゥギンは、ロシアの地政学思想の主要な人物として、世界の未来とヨーロッパの運命に関する深い分析を提示しています。
ネオ・ユーラシア主義の創始者である彼は、西欧の自由主義モデルに反対し、各文明ブロックが主権を取り戻す多極的な秩序を主張しています。 ユーラシア主義は、文化的分断とイデオロギー的支配のツールと見なされる現代の国家を拒否し、千年以上の伝統に根ざした精神的な帝国を提唱しています。
アイデンティティと記憶の守護者である「大地」と、破壊的な商人の遊牧主義の象徴である「海」を対立させます。 現在の紛争は、単なる戦略的対立ではなく、文明秩序を混沌の勢力から守るための形而上学的・終末論的な闘争の一部です。ドゥギンは、この闘争はヨーロッパの民衆ではなく、彼らが真の自由を奪う大西洋主義的政治・金融システムを標的としていると主張しています。
彼にとって、ヨーロッパ諸国の解放は、超国家的な構造からの離脱と、主権的な大陸空間との同盟を通じて実現される。この戦争は、文明の連帯の行為となり、大陸の精神的遺産を保護し、均衡を回復するためのものとなる。
このビジョンは、すべての確信を揺るがすものであり…世界地図を再構築する可能性を秘めています。
この記事は、ジャーナリストのザビエル・モローがロシアの哲学者アレクサンドル・ドゥーギンにインタビューした動画の内容をまとめたものです。
ドゥーギンは自身の思想的背景から現在の世界情勢まで、幅広いテーマについて語っています。
ドゥーギンの知的・哲学的ルーツ
ドゥーギンは、ソビエト社会の価値観に反発を抱き、若くしてヨーロッパの伝統主義者の思想に出会いました。この出会いが彼の思想の基盤を形成し、彼は世俗的な近代世界に対抗する伝統、神聖、帝国、階層の価値を擁護する「伝統主義者」としてのアイデンティティを確立しました。また、彼の正教への回帰は、この伝統主義思想と密接に関わっており、ロシアの伝統的なアイデンティティを再発見する手段となりました。
ユーラシア主義とウクライナ紛争
ドゥーギンは、ロシアが単なる国家ではなく、独自の文明国家であるというユーラシア主義を提唱しています。この思想は、ロシアが正教という東方キリスト教の伝統とアジア諸国からの影響を統合している点に根ざしています。彼は、ウクライナ紛争を、ランドパワー(ロシア文明、伝統)とシーパワー(アングロサクソンの近代性)との間の地政学的対立として解釈しており、2014年のマイダン革命をランドパワーの覚醒の兆候と見ていました。
プーチンとヨーロッパへの見解
プーチン大統領のウクライナ政策には失望した時期があったと認めつつも、ドゥーギンはプーチンもまたロシアの歴史的使命を自覚していると考えています。
また、彼はフランスの文化を愛する一方で、グローバリストのエリートに代表される現代のフランスには失望していると述べています。そして、ロシアがウクライナで戦うことは、フランスやヨーロッパ全体の運命のためでもあると信じており、フランス国民がロシアに続いてグローバリストに反抗することを望んでいます。
戦争の形而上学的解釈
ドゥーギンは、ウクライナでの軍事作戦を、存在(être)の力と非存在(non-être)の力との間の終末論的な戦いと捉えています。現代の西側諸国のグローバリストのエリートは反キリストのプロジェクトを進めており、ロシアにはこの終末論的なプロセスを阻止する使命があるという独自の思想を展開しています。
